2018年6月29日金曜日

ニッセイシリーズが信託報酬を下げた…! また信託報酬戦争が起きるか!

ニッセイシリーズが信託報酬値下げを発表したようですね。
アウターガイさん、たわら男爵さんの記事ではもう、具体的な数字が出ています。


(参照)
ニッセイ外国株がしょっぱい値下げを発表
http://tawaraotoko.blog.fc2.com/blog-entry-949.html


ニッセイ外国株 0.189→0.109%(スリム0.1095%)
ニッセイ新興国株 0.339→0.189%(スリム0.19%)
ニッセイ日経平均 0.169→0.159%(スリム0.159%)
ニッセイバランス(4資産、6資産、8資産) 0.219→0.159%(スリム8資産0.16%)
(※たわら男爵さんの記事より引用。旧信託報酬の補足を入れました)


とのこと。
全部スリムと比較すると0.01%ぐらいしか下げてなくてワロタwwwwww


とはいえ、自社シリーズ内だと0.15~0.01%ずつ下げてはいます。
例えば新興国株とかは、0.339%から0.189%は下げていますね。
なかなか思い切りました。


しかし、Slimのものより0.01%分だけ下げるとは、
本当に涙ぐましいというか、せこいというか…。


いえ、もちろん、これはニッセイにとってめちゃくちゃ苦い決断だったと思いますよ。
下げた率はたった0.15~0.01%帯とはいえ、3000万ぐらいの利益が消し飛ぶわけですからね。


また、これがまったく意味のない行為というわけでもありません。


低コストファンドの看板といえるニッセイファンドでしたが、
もともと、Slimシリーズのせいで資金流出がものすごい事になってましたから。


(どうせすぐSlimに抜かれるでしょうけど)今回、
Slimシリーズより信託報酬を低くした、ということで、
「すでにSlimに流出してしまった顧客を連れ戻す」ことはできないまでも、
「これからSlimに流出してしまいそうな顧客を維持する」効果はあると思います。


何故かと言うと、そもそも、信託報酬の低コスト化競争は、
一定以上は下げようがないからです。
それは、運用会社の利益も守らねばならないから、という理屈に繋がります。


低コストにこだわりすぎて、運用が立ちゆかなくなり、
途中償還なんてしたら目も当てられませんからね。


その結果として、例えば信託報酬を1%を0.5%に下げることはまだギリギリいけるとしても、
0.5%を0.01%にしてしまうと、運用会社にとってただの赤字ファンドになりかねませんからね。
結果的に、下げれば下げるほど、その「下げ率」は少なくならざるをえません。


つまり、信託報酬の下げ方は、だんだんと少なくなっていくはずです。
1%→0.5%→0.3%→0.25%→0.225%……みたいにね。現になってるしね。


そうやって低コストの下げ幅が小さくなっていくと、
今度は「低コストファンドに乗り換えること」のメリットよりも、
「低コストファンドに乗り換える際にかかる税金」のデメリットが上回ったりします。


つまり、現状e-MAXIS無印のファンドを買っていて、含み益が大量にある人が、
e-MAXIS Slimに資金を移せないのと同じことですね。


だって、資金を移すには、e-MAXISの資金を一旦利確して
現金にしてからSlimシリーズを買わなければならないわけで、
そうすると、含み益には20%近く課税されてしまい、資産が減少する恐れがあります。
金額的にはただ損をするだけになってしまいますからね。


他には、資金を移す以外にもっと合理的なこととして、
「旧ファンドの資産は放置して、今後の入金は低コストファンドにする」方法もあります。
こちらはよく、投信ブロガーさんたちがおすすめされています。
保有ファンドが2つになる以外は、得しかありませんからね。


ただ、今回のニッセイの低コスト化により、
「Slimと対して変わらねえなあ」とか、
「ニッセイここまで下げてくれるんだ!」とか、
顧客が納得したり、感動したりしてくれれば、
この手段に関しても少しだけ安心できます。


だって、やっぱりインデックスファンドよろしく、
ニッセイシリーズとSlimシリーズの指数はまったく同じですから。


コストが大して変わらないのに、わざわざ同じ商品を2つ持つなんて、
管理が大変になるだけです。(リバランスしないなら、いうほどめんどくさくはない)


指数乖離を何回も連発しても、
アh…お優しい顧客から応援され続けるニッセイファンドのことです。


今回の泣く泣く身を切ったような信託報酬の値下げによって、
既存の顧客はそのニッセイの献身的な態度にとっても感動し、今一度、
ニッセイファンドとは墓まで付き合っていく覚悟を持ってくれることでしょう。
(Slimシリーズに比べると微々たるコスト差であるものの、
既存顧客にとってはけっこう大きな信託報酬値下げではありますからね。)








さて…。


対してこの事実に、我々Slimシリーズの顧客は
ただただほくそ笑みを隠しきれません。


なにせ、ニッセイが死ぬほどの痛みを抱えながら苦労してくれたおかげで、
Slimシリーズの信託報酬の値下げを、労せずとも得ることができるわけですからね。


Slimシリーズが値下げをしない、なんてことはほぼありえません。
ニッセイに0.01%とはいえ、信託報酬が抜かれてしまった今、
「業界最低水準の信託報酬を目指し続ける」と標榜しているSlimが対抗しなかったら、
総スカンを喰らいますからね。今までの実績としても、下げないわけがありません。


そのうえ、このSlimシリーズの本当に汚い部分としては、
「e-MAXIS無印で利益を得ているため、Slimシリーズが薄利でも
まったく問題がない」というところです。


ニッセイファンドは、総資産額が外国株式だけで900億円もする
超巨大ファンドです。


ニッセイからしても、このファンドからの利益はかなり大きな物となっています。
そのため、あんまり無茶な信託報酬率にはできませんし、
信託報酬が低ければ低いほど、ニッセイにとって死ぬほどキツイ商品になります。


しかし、Slimシリーズはそもそも、
「利益自体は信託報酬クソ高なe-MAXISシリーズから入ってくる」
「だから、Slimシリーズは『他ファンドに顧客を取られるぐらいなら、
薄利でもいいから信託報酬下げまくっちゃえ』なファンド」なのです。


純資産額がニッセイの1/7ぐらいしかないのに、
多少の無茶がきき、対抗できるのはこの余裕からなのです。


ほんとに姑息できったねえ商品ですよね。やり方が最低ですよw
そのおかげで私達が得できるわけですけれども。


ただまあ、三菱UFJ国際も、このファンドを利益が出ない商品にするはずもないので、
Slimシリーズの信託報酬対抗値下げも、ある程度しょっぱい、
常識的なものに収まるんじゃないかなあと思いますけどね。
(それでも私は嬉しいですけど)


その際に、ニッセイと同額の信託報酬にした場合は(端的に言うと0.01%値下げ)
Slimシリーズはちょっと失望されることにはなりますけど、
ニッセイとSlimはお互いにいい感じに生き残ることができます。


逆に、程度にもよりますが、ニッセイに大きく差を付けて値下げをした場合、
ニッセイがこれだけ頑張って低コストにしたにもかかわらず、
「ニッセイ大したことねえな~。Slimやっぱり最高じゃん!」となって、
ニッセイはSlimのせいでけちょんけちょんに潰されるわけです。


さて、果たしてどうなるか…
Slimの動向に期待ですね。


色々言いましたが、結局、
この信託報酬のレベル感なら、ニッセイも十分、
というか十分すぎるほど低コストインデックスファンドです。


ニッセイファンドを既存購入している方は、
Slimシリーズに乗り換えがめんどくさい、ファンドを2つ以上持ちたくないとか、
『指数乖離を連発するインデックスファンドに危機感を感じない』のなら、
ニッセイファンドの継続購入・保有も全然いいんじゃないかと思いますよ~。


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