「「サムネがつまらない」というコメントがありました。
いやーほならね、自分が作ってみろって話でしょ?
そう私はそう言いたいですけどね。」
この発言は、稀代の大物Youtuberである「Syamu_Game」氏が生前に発言した、
未だに議論が絶えない、浅いようで不快…深い言葉です。
題して、「ほならね理論」と呼ばれています。
簡単に説明すると、Youtubeのサムネイルをバカにされた氏が、
視聴者に対して言った言葉なんですね。
彼に限った話ではなく、時たま、
いくらかのクリエイターもこの発言をすることがあります。
その時に、このSyamuさんの発言を引用して、
「制作側の成果物が不出来なことへの批判に対して、
じゃあお前が作ってみろとは横暴ではないのか。
批判は受け付けないということなのか」と
批判されることが、ネットでは散見されますね。
この言葉の意味を訳しますと、
「私がこういった物を作ったところ、あなたはそれが不満だと言いました。
ならば、あなたが試してみたら、それ以上のものが作れるのですか?
(作れもせず、作ろうともしないのに、そういうことを言うな)」
という意味になるでしょう。
()の中は、言葉そのものに含まれているのではなく、
受け手が感じるであろう意味合いを、
言外のニュアンスに暗に表しています。
そもそもこの発言は、意味あい自体は間違っていません。
言葉の意味だけなら、何もおかしいところはないのです。
ただ、一番の問題としては、
この発言は、多分に挑発的なニュアンスを含んでいるところが問題なのです。
A「あなたはつまらないな」
B「おう、なら君は、私より面白いのか」
売り言葉に、買い言葉。
喧嘩腰だからこそ、みな反感を抱くんですね。
また、この言葉を返された側は、
そもそもYoutuberのような「何かを提供する側」と
同じフィールドにはいません。
あくまで「視聴者」であるため、
「そういうことはしないし、できないとも良い」のです。
しかしながら、「じゃあ、あなたができるのか」と問われた時に、
事実はどうあれ、「できない」という、ある種敗北を認めるような肯定をしてしまうことは、
受け手としてはプライド的に許されません。
そのくせ、Syamuさんはそれほど有能な方とは言い難いため、
彼自身を下に見ている視聴者も多い。
下に見ている人から、「できもしないのに…」などと言われては、
受け手としては腹立たしいこと間違いないでしょうね。
また、言葉の意味自体には直接含まれてはいませんが、
どうしても、この言い方だと、
「貴方はできるのか」→「出来ないくせに…」→「出来ないのに言うな」
という受け取り方をされても、無理はありません。
…しかし、この言葉の意味ですが、
やはり履き違えてしまう方も多いんですね。
例えば、「顧客を楽しませる立場であるYouTuberであるのに、
その『楽しませる』という部分への努力をせずに、
相手に責任を丸投げするとは何事か」
といった内容。
こういう考えで、先の発言を批判することは間違いです。
そもそも、「YouTuber」と「視聴者」には、
上下関係など存在しません。同等な関係です。
その間には、直接的に金銭の発生する余地もほとんどありません。
YouTuberの収入は、閲覧数に応じて入るものですが、
視聴者が支払っているわけではないので、損もしません。
(Syamu_Gameには有料チャンネルもありませんでした)
そもそも販売者と顧客の関係ではないため、
視聴者を軽んじたり、侮辱や挑発をしてはいけないわけではありません。
まあ、販売者と消費者の関係であっても、
上下関係など存在しないんですけどね。
販売者が下手にでるのは、その方が消費者に買ってもらう上で
都合がいいからであって、消費者に対して横暴に振る舞ってはいけないわけではないです。
YouTuberが「チャンネル登録してね」とか、
「いつも見てくれてありがとう」というのは、
あくまで、『自分の作品を気持ちよく見てもらい、閲覧数を伸ばすこと』
が目的なのです。
批判意見に対して、言うな、とは言えないものの、
怒ったり文句を言ってはいけないというわけでもなく、
相互間に直接的な金銭の発生もないため、YouTuber本人が良ければ、
作品価値を高める努力もしなくともよいのです。
つまるところ、この言葉を総括しますと、
①挑発的で、反感を買う言い方である
②発言自体は筋が通っている
③売買や責任が伴う関係でないなら、言ってはいけないわけではない
(そもそも、話し手に努力義務は必ずしも存在しない)
というものなのです。
ネットでは、時折、
「声優なんて誰でもできるでしょ?」
「絵なんて誰でもかけるじゃん。ささっと無料で描いてよ」といった、
サブカルの技術職を軽んじる発言を見かけたりもしますが、
そういったことを言われた時に、「ほならね、」と返すことは、
別におかしくもなんともないわけです。
…最後に、藤子不二雄の「エスパー魔美」という作品の
『くたばれ評論家』という話に出てくる、有名なセリフでしめよう。
「(評論家に)批評の権利があれば、ぼく(絵描き)にだっておこる権利がある! あいつはけなした!ぼくはおこった!それで この一件はおしまい!」
と、いうことを言いたかった。
Syamuさん、貴方は間違ってないよ!(大ファン)
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